5月4日(土)に栃木県小山市のバーブル・イスラームモスクでおこなわれたICOJ(Islamic Circle of Japan)のAnnual Conference、5月11日(土)の浅草モスクのダルスにて、「日本でムスリムの子どもをどう育てるか?」というスピーチをおこないました。
↓ダルスのアーカイブ動画はこちらです。
今日は、スピーチの内容等を短く要約して、ここに残しておこうと思います。
まず前提として、わたし自身は日本人の改宗ムスリム(7年前に改宗)、インドネシア人の妻と、11ヶ月の娘と3人で暮らしています。つまり、子育て初心者です。
日本に住むムスリム(イスラーム教徒)としても、子を持つ親としても、経験はまだ多くありません。あくまで日本で子育てする(これから本格的に子育てしていく)一人のムスリムの親の発言として、参考にしていただければと思います。
まず、イスラームが広まっている地域とは違い、子どもが育つ日本という環境には、次のような特徴があります。
こうした前提に立って、必要なことを考える必要があると思います。
子どもが育っていくうえで、さまざまな課題が出現すると思いますが、
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子ども本人の努力
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親の努力・サポート
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コミュニティの努力・サポート
これら3つの力が合わさることが大切だと思います。特に、親をはじめ、コミュニティの大人たちが現状や課題をできるだけ理解し、できるだけのサポートをしていかないと、子どもにかかる負荷が大きくなってしまいます。
子ども本人の努力という点でいうと、「自分はムスリムである」「自分は非ムスリムの社会で生活している」という前提がしっかりわかっていないと、自分の信仰生活を守りながら、周囲とバランスよく関わって過ごすことは難しいでしょう。
とはいえ、このようなことを、言葉で子どもに理解してもらうのは難しいでしょう。わたしは個人的に、本人が経験的・直感的・感覚的に了解できないことを、言葉で説明するというのは、ある種の暴力のように感じます。
では一体、どうしたら良いのでしょうか?
やはり、わたしたちが親としてできることとしては、
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子どもといる限られた時間を大切に使う(そのなかで、イスラーム・ムスリムとしての生き方を伝えていく)
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言葉で説明するというよりも、自分自身が一人のムスリムとして行動で示す→子どものなかにも一緒に習慣をつくっていく
ということではないでしょうか。
おそらく、イスラム圏で育つ子どもよりも日本で育つ子どもの方が、イスラームについて疑問を持つのではないでしょうか(イスラム圏では周囲のみんなが同じように礼拝しているので疑問を感じないが、日本ではムスリムが少ないので、なぜ自分たちだけそのようにしているのか、疑問に感じやすい、など)。
この、子どもからの「なぜ?」という質問は、子どもとともにイスラームを学ぶ・理解を深める大チャンスだと思います。
では、このようなことができる親であるために、気をつけるべきことはなんでしょうか?わたしは、親は、自分自身のメンタルケアがとても大事なのではないかと思っています。
無理をしすぎないこと、自分なりの息抜きをすることも大切だと思います。そしてもし余裕があるならば、
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イスラームの勉強をする(漠然とではなく、目的を持って)
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日本文化や日本の社会について学んでみる(自分や子どもが暮らす日本・周りにいる日本人について理解を深める)
なども大事なことであり、子育てというだけでなく、日本で正しいイスラームを伝えていくうえでも役立つと考えられます。
最後に、コミュニティとしてやった方がいいのではないか?ということも提案させていただきました。
もうすでに、いろいろなところで子育てのための活動が始まっています。わたしもほかの方々の意見や経験から学び、自分でできること、協力できることを探し、できる限りの努力をしていきたい所存です。
インシャーアッラー